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※このサンプルは相談者の許諾を得て公開しています。
【展開】
上段 The Hermit / Princess of Discs / The Moon
中段 The Tower / Knight of Wands / 4 of Swords
下段 5 of Discs / Ace of Cups / 9 of Swords
(添付画像参照)
【分析】
中段中央には人物札Knight of Wands、元素「火」の「火」に象徴されるパーソナリティを示す。発想力、決断力に秀でた力強い男性が描かれている。これは相談者自身のパーソナリティの一側面と見ても、相談内容に強く関係する人物と読んでもいいが、「人様を羨ましいと思う気持ちの浄化」がテーマなので、ひとまず相談者自身のパーソナリティの一側面と読んでみる。描かれているのは、強い「火」だ。元素「火fire」は、人間の心理機構では意志、欲望、視覚(ヴィジョン)に該当し、能動的/男性的エナジーである。「羨ましい」という気持ちの背景には、自分自身に対する強い肯定感があり、その肯定的なエナジーは正しく方向づけられれば、自らの意志、欲望、ビジョンを成就させるために必須のエナジーである。しかし、正しく方向づけられることなく迷走すれば、自分も周囲も焼き焦がす、デコントロールな炎にもなり得る。
中段左には絵札「塔 The Tower」。惑星・火星が照応し、崩壊するバベルの塔が描かれている。中段中央Knight of Wandsと、絵柄が連続しているように見える。Knightの激しい炎が、火星の勢いを得て、確かに何かを焼き焦がしているようである。相談者の現状・環境を示す中段の解釈としては、現時点で相談者が抱える葛藤の風景とも読める。自分の中に激しく渦巻く羨望の炎は、時にアンコントローラブルとなり、世界を破壊するビジョンを心的映像として描く。その心的葛藤は非常に強く、実際に周囲とのトラブルなどを引き起こしているかも知れない。しかし、中段右には数札4 of Swordsがある。天秤座の木星が帰属し、タイトルは「停戦 Truce」。燃え盛るKnight の炎は中段左、バベルを激しく焼き尽くしているが、Knightの背中には理知的に構築された平穏、静けさがある。少なくとも相談者は、周囲との関係性においては、一定の自制が効いていて、冷静な表層を保てているようだ。元素「風」の活動宮である天秤座は、「わたし」と「あなた」の関係性を理知的に捉える、透明で静かな風だ。木星は全てを育み拡大させるエナジーで、「わたし」と「あなた」の協定に基づく平和な領域を拡大していく。中段3枚の並びは、相談者の激しい心的エナジーが、滅ぶべきものを滅ぼそうと猛り狂うと同時に、その殲滅作戦の対象外となる「わたしの仲間」を区別し、保護しているようにも見える。
「塔」の札上部には、開くシバの目が描かれている。ヒンドゥ神話において、宇宙はシバ神の瞬きのたびに創造・破壊される。今、シバ神の目は開き、古い囚われの塔が徹底的に破壊され、そこからオリーブの小枝をくわえた鳩が飛び立っている。相談者が「人様を羨ましいと思う気持ち」を「浄化」したい、と思って今回鑑定を依頼している、その行動をも、この札は示しているかも知れない。この殲滅作戦が、相談者が「羨む」外部世界に向けられるのであれ、相談者自身に向けられるのであれ、それは「浄化」という大義がある。
下段中央には数札Ace of Cups。元素「水」の純粋なエッセンスを示し、人間の心理機構では感情、共感、同一化に該当し、受動的/女性的エナジーである。中段で激しく燃え盛るバベルの大火災と対照的に、それを鎮火させる清らかな水が芳醇に溢れ出している。激しく燃やし、同時に鎮火させる。矛盾だが、このコントラストの強い矛盾が、相談者自身の内面で繰り返し起きている心的力動であろう。激しい炎と清らかな水のドラマは、魅力的で、幻惑的な美しさを湛えている。「浄化」を意味するギリシア語カタルシスは「悲劇による浄化」を意味し、古代ギリシア悲劇で観衆が「涙を流す」ことにより、治癒的に自己変容する体験である。他者を強く羨み、羨む自分を省みて、涙する。相談者は火と水の激しい応酬によって自らを癒そうとしているのであり、極端ではあるが、一種の美しさ、美徳のようなものも感じられる。
中段左には数札5 of Discs、牡牛座の水星が帰属し、タイトルは「心配 Worry」。重たい身体、動かない状況が、細かく振動することにより、「不安」が生じる。Discsは物質・身体・富を象徴し、その本性は「変化・流動」である。つまり物質も身体も資産も、変化し流動し続けることが健全性の要であるのだが、同時に自らの変化、自己同一性のゆらぎ、資産の移動は、「不安」を伴う。5番という数字から火星の影響も受け、何かを破壊し、変化させようという力動と、それに対する不安が、やはり矛盾しながら同居している。下段右には数札9 of Swords、双子座の火星が帰属し、タイトルは「残酷 Cruelty」。上段右では木星のもと、一定の冷静さ、平静、秩序を保っていた「風」のエナジー、理性は、ここでは火星と、9番という数字から受ける月の影響を受け、辛辣で攻撃的な批判・議論・強引で混乱した思考となっている。下段の不安と混乱は、相談者の内面に押し留められ、抑圧されている。
上段中央には、人物札「Princess of Discs」、元素「地」の「地」を象徴する。彼女は「火の火」から「地の地」へと連なる人物札の最後に位置し、春分点直前の、冬の最後の時期を統べる。彼女は大地に種子を蒔き、結晶のついた棒から光を放ち、春の芽吹きを待っている。ここにも絵柄の連続性が見えて面白い。中段中央Knight of Wandsはまさに春の芽吹く生命力であり、上段中央のPrincessはそれを種まき育てている。過去と未来が相互に交錯しているような、不思議な風景だ。
上段左には絵札「隠者 The Hermit」、乙女座が帰属する。暗闇のなかで、蛇が絡みつく卵を凝視する老人が、背中を向けている。その顔は見えないが、手には激しく輝くランプを持っている。足元にはケルベロスがいて、この暗闇が冥界であることを示すが、暗闇はよくみるとうねる麦の穂で満たされていて、卵、そして精子という象徴から、ここが生命を生み出す地下世界であることも示される。上段右にはもう一枚の絵札「月 The Moon」。魚座が帰属し、やはり暗闇の風景が描かれている。妖しくゆらめく月の光が満ちる暗闇に、恐ろしげな神が行手を遮る道が描かれている。カード下部には甲虫がいて、小さな光の玉を携えて水面からのぼりゆこうとしている。この「月」は、下段右の9 of Swordsの「残酷」を駆動する、混乱と幻惑のエナジーであるが、その月の光の成分を「Swords-理性」から切り離し、それ自体に純粋に目を凝らすと、より静かな幻想世界が現れる。中段、下段で描かれている矛盾、葛藤、緊張、美しくさえある激しいコントラストの世界は、上段では、暗い地下世界で新たに再生していく生命の、無言劇の静けさ、落ち着き、冷たさとほのかな暖かさがある。
【総評】
「人様を羨ましく思う気持ち」と、その「浄化」は、相談者自身が持つ際立ったエナジーの、葛藤、自己矛盾である。それは激しく、時に手に負えなく感じるだろうが、同時に、そのような激しさは非常にエナジェティックで、力強く、時に創造的で、ある種の美しさすらあることに留意するべきだろう。この激しいエナジーは、相談者自身の自制によって、ともかくも表面的には平静を保てている。しかし、相談者自身が感じる緊張、負荷もまた強く、それが体調や心理面を揺さぶり、つらくなることもあるだろう。要はそれに耐えうる体力、ずぶとさ、激しく矛盾しながらも安定する身体と精神があれば、そこから美を汲み出す温泉のようにも活用できる。
例えば、サウナで汗をかき、水風呂に沈む。それを繰り返しているのだ、とイメージしてみれば、次に「人様が羨ましく」感じられた時に、バシャ!と浴びる冷水の心地よさを想像して、ゾクゾクできるかも知れない。そしてそれは肌艶をよくし、表情を明るくするだろう。「浄化」、カタルシスのイメージを、「羨んでしまう未熟な自分」の「殲滅」ではなく、古代ギリシャの円形劇場で壮大なページェントを演じる悲劇俳優と、感極まって嗚咽する観衆の拍手喝采、とイメージして、その両方を「わたし」がやっているのだ、と捉え直してみてもよい。炎と涙が描き出す美の世界。相談者が他者を羨む時、実はそういう美的体験もまた起きていて、それは相談者自身の特質、才能でもある。
「温泉」「サウナ」「劇場」というキーワードで、自身の身体と精神が耐えられる範囲内で、このコントラストを受け止め、高めてみる上で、もう一つのキーワードが「火星」である。火星は男性的で攻撃的、時に破壊的なエナジーであり、スプレッド中段下段で繰り返し強調されている。火星のエナジーがやや過剰なので、意識的にそれを鎮静する意識、というのも有用だろう。それは相談者のストレスを軽減する。しかし同時に、この火星の熱こそが、純粋な涙を熱し心地よい温泉にしているのであって、完全に押さえ込んでしまうと、活力が失われ、肌艶と表情は暗くなる。要は、火加減である。火星のエナジーの調整は具体的なところもあって、単純に辛いものを食べたり、控えたり、といったことである程度コントロールするコツが掴めてくる。カッカしてるな、と思ったら冷やし、ダルいな、と思ったら汗をかく。それを細かく、「振動」のようにコントロールすることで、「不安」と「攻撃性」は「ノリ」と「ストイックさ」に、転換できるだろう。
相談者が「浄化」を求める、きっかけのようなことがあったのかも知れない。そして、それは基本的には、美しく、志の高い衝動だ。タロット鑑定でもやってみようか、と思い立ったのは、その志の帰結であろう。そしてそれがこれから向かうところは、より静かに、時が満ちるの待つ、地面の中の種子のような状態だ。ここにおいて「浄化」は「発芽」ないし「孵化」のイメージに変容する。上段の風景は奇妙で、興味深い。現状でカッカしながらバベルを一生懸命破壊しているKnightは、実は未来のPrincessがニコニコしながらその発芽を待っている種子でもあって、ここでは過去と未来が交錯している。つまり、爆発的で想像的な、時にバベル=古い自分を破壊する生命力を、微笑ましく見守りその成熟を待っている自分は、すでに存在しているのである。Princessは、サウナと温泉を経て、肌艶が若々しく蘇った未来の自分、かも知れない。未来の自分が若返っている、というのは矛盾であるが、実は生命とは常にそういうものでもある。
美しく若返った未来の自分は、火星の破壊的なエナジーを、春に芽吹く生命力の熱源として、適切に扱い方向づける、園芸のスキルを持っている。「隠者」には老人が描かれているが、彼は地面のなかで再生を待つ赤子でもある。矛盾だ。そして「月」は、恐ろしげで不安に満ちた暗闇の風景を、お化け屋敷のようなドキドキ感、陶酔感に変容させる。小さな太陽を頼りに進む甲虫は、道行の暗闇を、恐れているふりをして、楽しんでいる。行手を遮る神像もまた、ニヤニヤしている。なぜなら、暗闇を貫く道は、一本道であり、迷う心配はないからである。お化け屋敷も、中で遭難するほど複雑であれば、成立しない。ひんやりとした薄暗がりをドキドキ、うっとりしながら進む、そういう大人の遊びがお化け屋敷であり、そこには火星とは異なるエナジー、ひんやりと冷たく、ほのかに暖かい、春を直前にした冬の最後の大地の質感が、満ちている。
「人様を羨む自分をどうにかしたい」という相談ながら、「他者」を意識させる札は見当たらない。やはり、激しい「羨み」のエナジーは自分に向いているのであり、それは火加減を調整することで温泉、サウナの熱源となる。正しく調節された温泉、サウナで肌艶を整えた時、炎と涙という激しい矛盾は、冷たく温かいという静かな矛盾となって、相談者に成熟した色気と、永遠の若々しさという、生命の矛盾をもたらす。
【アドバイス】
・まいってしまわないように、自己管理する。イライラしたら鎮める。激し目に鎮める。
・火加減を調節しつつ、完全に消してしまわない。楽しく羨み、自分の肌艶のために利用する。
・激しく笑い、激しく泣く。大きく感動することで、些細な不安や重箱の隅つつきの癖を抑える。
・浄化の先も、また新しい矛盾でだる。矛盾しながら美しく、若々しく老成するように。その類まれなる矛盾を、人様「が」羨む時もくるだろう。その時は、秘密を教えてあげるとよい。
【おすすめのおまじない】
・サウナ。温泉。熱して冷ます。
・悲劇の執筆。想像力のなかで滅ぼし尽くし、泣きくれる。
・自分が羨んでしまうような、未来の自分を想像する。そのアドバイスをきく。
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